Beat46・WEBドラム教室/レッスンレポート[lr001-03]

【動きのままの音が出る-03-】

 さて、「動きのままの音が出る」ということについて、もう少し補足しておきましょう。
 レッスンレポートというより、私の経験した話から述べます。
 前回に、「左足でのハイハットの踏み方と同じ動きを手でやると、ショット時にスティックを打面近くで止めて・・・。」云々と述べましたが、この叩き方そのものが硬い、というわけではありません。これも、手首や下腕(=肘から手首までの部分)の動かし方に寄り、音は硬くも柔らかもなります。
 私が以前、リズムを刻むシンバルの音にスピード感をつけることを強く意識していた時に、スティックを止めることを意識しすぎて、手首や指、下腕の動きが硬くなり、結果、音も硬くなっていました。その頃の演奏の音を録音したものを聴くと、やっぱり硬い(笑)。
 当時一緒にバンドをやっていたメンバーは、「音がシャープだね。」などと言ってましたが、これは、『良い言い方をすれば』、って感じでしょう(笑)。ちょっと耳に痛さを感じる、尖った音でした。特にハイハットは、カッチリとクローズして、余韻がまったく出ないように、わずかでも「ジャリッ」という音が出ないようにしてましたから、シンバルの金属音も目立つ感じだったわけです。
 ショットの瞬間にグッと握って一瞬スティックを止める動きはスピードをつけるには不可欠ですが(指を素早く閉じることでスピードが付く。素早く閉じる結果、強く握ることになる。)、次の振り上げのために瞬時にまた握った力を緩めないと、スムーズに連打は出来ないし、握りを緩めることをしないまま振れば、手首は動きませんから、全体として硬い動きになります。
 仮に手首を動かせない場合に、下腕を、ストロークのために補助的に使えばいいですが、これもやはり「柔らかい動き」になっていないと音も硬くなる。
 では、スティックのスピードを付けつつ、柔らかい動きにするにはどうするか。
 柔らかい動きというのは、動きが止まらずに動き続けることですから、ショットの瞬間に力一杯握らなければ良い。
 つまりは、力一杯握りに行かなくてもスピードがつけられるように、指の握り(=握力)を強化し、また指の動きそのものも速く出来るように練習する、ということになります。手首の動きが止まらない程度の握りでスピードが付けられれば良い、ということですね。
 ただ、握力と言っても、ギューッと握りしめる強さというよりは、素早い指の動きでスティックを動かせる力、ということです。指に素早い動きをさせるために、握力もある程度必要なのですが、例えば、リンゴを握りつぶせるような強靭な握力を持っていても、スティックにスピードをつけられるとは限らない。筋肉の使い方が違う、ということです。 腕や足の強化にしても、筋トレがある程度は有効ですが、やはり足はバスドラムやハイハットで、腕や手首、指はスティックを振ることで、それぞれ強化(=スピードも含め)していくのが一番確実だと思います。
 さらに、演奏時には、実際にシンバルの余韻がどの程度伸びているか、余韻がどういう減衰をしているかを聴き取ることも大切です。ハイハットは足の踏み加減、ショットの角度なども考えて叩くべきでしょう。

(終)
2010年01月23日発行第291号掲載

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